斜里にトド現る!(地元から-その2:海獣類との共存が課題)
2016/10/03
斜里にトド現る!(地元から-その2:海獣類との共存が課題) ( ブログバトン ) - 知床自然大学院大学設立財団ブログ - Yahoo!ブログトドの話題を続けます。トドは千島列島などの繁殖地から10月~5月の間北海道周辺の海域に回遊してきます。千島列島の個体群は1960年代には約2万頭でしたが1990年代には4,000頭ほどにまで激減し、知床沿岸に回遊する数も1970年代の3,000~5.000頭から、2000年代以降は200頭以下にまで減少しました。一方、サハリン沿岸やオホーツク海北部などの繁殖地から日本海沿岸に南下するトドが近年増加し、最近の北海道全体の最大越冬個体数は約5,000頭と推定されています。かつて、過度な捕獲と餌資源の減少によって急激に減少したトドは国際的な絶滅危惧種にランクされていました。しかし、ロシアの繁殖地での増加や日本に回遊するトドの増加によって今は絶滅危惧種から準絶滅危惧種にランクを下げています。そして、北海道に回遊するトドの増加と共に、漁業被害が日本海沿岸を中心に深刻になっています。
同じように絶滅危惧種で個体数を回復ししつつあるのがゼニガタアザラシです。1970年代には300頭程にまで減った北海道沿岸のゼニガタアザラシは、最近では900頭程にまで回復しました。それと共に、ゼニガタアザラシによる漁業被害が問題になっています。
「野生生物と人との共存」は海域でも重要な課題です。個体数が回復してきた種を再び絶滅の淵に追いやることなく、効果的な被害防止対策を進めなければなりません。(中川 元)