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知床ネイチャーキャンパス-3STEPで学ぶヒグマ管理- 社会人対象の「ケースメソッドとワークショップ」が終了しました!

2月25日〜26日、知床ネイチャーキャンパス-3STEPで学ぶヒグマ管理-の社会人対象ケースメソッド&ワークショップをオンラインで開催しました。

大学生・大学院生対象のケースメソッド&ワークショップの開催から2週間後、今回は社会人対象に同じプログラムを開催しました。
(大学生・大学院生対象日のご報告はこちらから)

今回は実際に野生動物管理の現場で働いている方、研究者の方、環境関係のNPO法人や民間会社の方など、全国各地から17人がオンライン上に集合。ヒグマ専門家の間野勉さん(北海道立総合研究機構)によるヒグマの生態と管理に関するオンデマンド配信講義、知床ウッズの高松大地(架空の知床ヒグマ管理担当者)を主人公にした物語風のケース教材を予習した上で、ケースメソッドに臨みました。

初日の25日は知床財団保護管理事業係・伊集院彩暮さんのリアルな体験談(モヤモヤ)をじっくりお聞きした後、敷田麻実さん(北陸先端科学技術大学院大学教授)のファシリテーションのもと、ケース教材を題材に、1「理想的なヒグマと人との関係」2「管理担当者が直面する課題」について、まずチームごとに、その後全体でディスカッションを行いました。

理想的なヒグマと人との関係については、「緊張感」や「距離感」というキーワードが多くの受講生から上がりました。では誰がどんな距離でヒグマに遭うのが問題なのか?というような議論の切り口を見出すところからスタートしました。

直面する課題については、複雑に絡み合った現実の事象を前に、そもそも根っこにある課題とは何なのか?を整理。様々なステークホルダー(行政、観光客、地域住民など)の認識のズレが問題ではないか?認識のズレを修正するのは難しいので現実的には強制力がもっと必要なのではないか?など深い議論に進んでいきました。

翌日26日は実際にケース教材の主人公・大地ができることについての話し合いからスタート。共有できるビジョンやあるべき関係があるのか、あるとしたらどんなビジョンで、何をすべきか?何ができるのか?へと話が進んでいきました。

午後からはケースメソッド議論の延長で、「3000万円で知床ウッズの事業を考える」のワークショップへ。各チームが予算配分も含めて、有効な対策を立てるためにそれぞれの視点から案を組み立てていきました。

最後の発表では、
・ヒグマの行動変容についての調査研究
・観光客を対象とした動画やイベントによるマナー向上策
・イベント化や農作物のブランド化も見据えて地域を巻き込む電気柵設置
・共感と体制づくりを軸に、地域で行うワークショップや交流会の開催

などなど、これまでの議論を踏まえたさまざまな案が発表されました。受講生同士の質疑応答のほか、講師の皆さんからもそれぞれのチームに講評をいただき、2日間のプログラムは終了。引き続き行った自由参加の懇親会でも、プログラムの感想や発表案についてざっくばらんに話し合うことができました。

オンデマンド配信講義、ケース教材での予習、ケースメソッドとワークショップ(大学生・大学院生対象、社会人対象)という2ヶ月にわたってオンラインで行った今回のネイチャーキャンパスは、これで全日程が終了しました。

当財団としても初めてのケース教材作成に始まり、全編オンラインでのプログラム進行など試行錯誤の部分も大きかったですが、今回の経験を今後のよりよい教育活動につなげていきたいと考えています。受講生の皆様、講師の皆様、お世話になった関係者の皆様、本当にどうもありがとうございました。

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