【ワイルドライフマネジメントNews】「野生生物と社会」学会2017年度大会に参加しました
【ワイルドライフマネジメントNews】では、知床はもちろん、全国のワイルドライフマネジメントに関するニュースや、イベント、シンポジウム情報などをお伝えします。今回は11月3〜5日に開催された「野生生物と社会」学会2017年度大会についてです。
11月3日から5日まで、北海道の帯広畜産大学で「野生生物と社会」学会の第23回大会が開催されました。この学会には野生生物問題に関わる研究者や学生が全国から参加しています。加えて、様々な問題に現場で取り組む行政マンやNPO法人・コンサル会社の職員など、社会人の参加が多いのも特徴です。3日間に12のテーマセッションと70以上のポスター発表、そして一般市民も参加する公開シンポジウムが開かれました。
研究発表は野生生物の生態に関する研究が多くを占め、ついで鳥獣被害防止や保護管理システムに関するもの、希少種の保全や調査技術に関するものなどが多くありました。また、最近は社会学的な視点からの研究も少なくありません。野生生物の価値や「資源化」に関わる課題、保全策や共存策を地域資源管理として位置づけ、持続可能な地域づくりにつなげる研究などが、具体的事例をもとに紹介されていました。
テーマセッションの一つ「生物文化多様性のフレームワークによる野生生物管理と環境保全政策」(敷田麻実さんほか)では、生物の多様性が生活や文化の多様性を生みだしてきたことを踏まえて、生物多様性の「第二の危機」(里地里山の劣化やシカの増加など)には、利用を前提とした生物多様性と文化多様性の関係の議論が必要とし、具体的事例や都市と地域との関係を含めて議論されました(ちなみに第一の危機とは開発や乱獲による種や生息地の減少のことです)。
最終日の公開シンポジウムは「十勝の自然と人の暮らし-自然への影響と共存へ向けて」をテーマに基調講演とパネルディスカッションがありました。今野康夫さんによる基調講演は、農地と防風林・広葉樹林の交錯する十勝の景観や野生生物の生息について、歴史的経過から考察した興味深いお話でした。また、都市環境に順応した野生動物を研究している大学院生の内田健太さんの講演は、人口減少による街への野生動物の進出や人慣れなど、都市は両者の軋轢の最前線になりつつあるという内容でした。
なお、当財団からは「野生生物保護管理専門職の現場教育の可能性-その3」として、知床ネイチャーキャンパスによる教育実践活動についてポスター発表し、参加者と意見交換をすることができました。
帯広畜産大学のキャンパスは、エゾリスやエゾモモンガの生息する自然の中にあります。学会が開かれていた講義棟の横にもエゾリスが現れました。今年はアルビノの(白い)エゾリスが話題になっているようで、訪れた市民が遠巻きに観察していました。(中川 元)
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