冬の知床を散策してきました
今週の月曜日(2月21日)は全道的に大荒れで、斜里でも雪がたたきつけるように降っていました。北海道の冬が初めての私は家の窓から呆然と外の様子を眺めておりました。
さて、先週は所用で何度かウトロ方面に行っており、はじめて冬の知床を見てくることができました。いくつかアクティヴィティにも参加しましたので、簡単に紹介していきたいと思います。
まずは流氷ウォークです。
流氷ウォークは、今や冬のウトロを代表するアクティヴィティとなっています。流氷の上に乗る行為は非常に危険なため従来御法度とされてきましたが、ウトロではドライスーツを着用しガイドの方が引率することで実現しています。
ドライスーツを着用し、ポイントまで移動して、いざ流氷の上へ。意気揚々と歩きだして、私はすぐに氷の海に落下しました。その時々のコンディションにもよるのでしょうが、意外と流氷の上は安定していませんでした。小さな流氷は乗ると徐々に沈んでいきますし、思わぬところで崩れたりします。体験してみないとわからないものです。なおドライスーツのおかげで、沈むことも濡れることもありませんでした。
ひっくり返った流氷の裏は黄色っぽくなっていました。これが知床の海の豊かさの源となっている「アイスアルジー」だそうです。
流氷の上を歩くだけでなく、「流氷風呂」に浸かるのも流氷ウォークの楽しみ方の一つです。
大人であっても、流氷の上というのは楽しくなるものです。一緒に参加した皆さんもテンションが上がっており、はしゃぎすぎてガイドの方にやさしくたしなめられている方もいらっしゃいました。実際流氷の上にいたのは30分ほどだったでしょうか。時間はあっという間に過ぎていきました。
100平方メートル運動の一環として公開している「森づくりの道」も何か所か歩いてきました。
まずは「開拓小屋コース」。冬にこのコースを歩くときには、「スノーシュー」が必要です。接地面が広がり圧力が分散されますので、踏み固められていない雪の上でも沈まずに歩くことができます。また裏には爪がついており、傾斜を登る時でも滑ることがありません。スノーシューは知床自然センターでレンタルも可能です。スキーで散策しているお客さんもいました。
このコースは夏には何度か来たことがありましたが、冬はまた様相が一変していました。保存されている開拓家屋や開拓小屋にもがっちりと雪が積もっています。
展示されているアートは半分ほど雪に埋まっておりました。残念ながら知床連山は見ることができず。晴れたらこんな感じで見えるようです。
開拓小屋コースは通年でオープンしていますが、「冬の森コース」は冬期限定のコースです。こちらもスノーシュー推奨。
こちらは100平方メートル運動で植える苗畑の様子を見ることができたり、沢の周りを歩くことができたりできます。開拓小屋コースと比較するとコースの長さが半分程度(2.5km)ですので、散策のハードルは低いかもしれません。ただし、アップダウンは多めです。もっとも、それがこのコースの魅力の一つでもあります。
個人的には、葉を落としたカラマツ林の美しさが印象に残りました。
沢へと降りていく野生動物の残した痕跡。彼らの生活の一端を垣間見ることができます。
最後に、冬の知床五湖。
冬の知床五湖は、「厳冬期の知床五湖エコツアー」に申し込むことで訪れることができます。冬期は知床五湖までの道路が封鎖しているので、マイカーではアクセスできません。
こちらもスノーシューを履いて散策しました。冬は動物の足跡が雪上に残っていますし、葉が生い茂っていないこともあって、木に残された痕跡もよく目につきました。こうした痕跡をガイドの方が詳しく解説してくださり、冬の知床の動物の生態について理解を深めることができました。
エゾシカにも遭遇し、観察することができました。2頭のオスジカで、2頭とも木の枝(の芽の部分?)を食べていました。シカたちはこうして厳しい冬を凌いでいるのですね。
ツアー開始時は寒くて震えていました(ガイドの方によると、今日は暖かくて快適とのことでした)が、次第に日が差すようになり、二湖からは知床連山を望むこともできました。
夏期は一湖から高架木道へと上がっていくのですが、今回は海の近くまで出ることができました。小高い丘に登ると、能取岬の方までざっと見渡すことができました。流氷はやや少なめだったようですが、白と青のコントラストがとても印象的でした。
ウトロの街を歩いているだけでも、流氷を眺めたり、越冬のために渡ってきたオオワシを観察できたりなど、十分冬の知床を味わうことができます。流氷が押し寄せるために陸にあげられている漁船を見るのも面白いです。
しかしドライスーツをきて流氷の上を歩いたり、スノーシューを履いて冬の自然の中へ入っていったりすることで、より身体的に知床の冬を感じられると思います。またガイドの方の詳しい解説を聞くことで、野生動物が厳しい冬をどう乗り切っているのかについて理解を深めることもできるでしょう。
夏とはまた違った魅力を持つ冬の知床にも一度いらしてはいかがでしょうか。
(事務局・船木大資)