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知床サスティナブルウィークに参加してきました① ナショナルパークシャトル&カムイワッカ湯の滝モニターツアー編

先日のブログでもお伝えしましたとおり、知床自然センター周辺では10月1日(金)から10日(日)の間サスティナブルウィークが開催されました。私もいくつかのプログラムに参加してきましたので、今回はその一部、10月2日に参加した「ナショナルパークシャトル」とカムイワッカ湯の滝一の滝以奥のモニターツアーの模様をお伝えしたいと思います。

知床自然センターに到着したのは9時半頃。まず予約していた10時からのモニターツアーのレクチャーを受講しました。知床財団の方から、カムイワッカ湯の滝の位置、モニターツアー実施に至る経緯、滝の中を歩く際のポイントと注意点等を説明していただきました。

レクチャー受講後はそれぞれでカムイワッカ湯の滝に向かいます。知床五湖方面に向かうバスは30分おきに自然ガイドが乗車し車内で自然解説を行っているということだったので、この特別便に乗車することにしました。私の乗車したバスには男性ガイドの方が同乗されており、サスティナブルウィークの趣旨説明や知床でクマとの人間の距離が近くなっているという問題があること、秘境と言われる知床だが開拓の歴史があること、知床100平方メートル運動の取り組み、カムイワッカ湯の滝を登る際の注意点などを説明されていました。

20分ほどでバスは知床五湖に到着し、すぐカムイワッカ行きのバスに乗り換えます。さらにここから30分ほど旧林道の未舗装道路を走ります。このカワイワッカまでの道はこれまでも野生動物に遭遇することが多く、今回もエゾシカがヤブに駆け込んで行くところを見ることができました。

湯の滝に到着するとスタッフの方が待機していて着替え用のテントに案内してくださいました。テント内で動きやすく濡れてもいい服装に着替え、持参したゴム底のウォーターシューズと滑り止めのついた手袋、自然センターで借りたヘルメットを装着し、準備完了です。周囲の状況と足元とに気を配りつつ、湯の滝の中を進んでいきます。一の滝付近までは何度か登ったことがあり、滑らないよう慎重に登っていたのですが、この日は沢登りに適した格好をしてきましたので、以前ほど神経質にならずにスムーズに登っていくことができました。

従来の立入禁止区域を示すロープをくぐり、さらに上流へと登っていきます。湯の滝の水質は強酸性ですので、しばらく登っていると露出しているくるぶしあたりがピリピリしてきます。二の滝や三の滝は両手を使って登らねばならず、また流れる水の中を通っていくため濡れるのを避けられないような箇所も多くありましたが、その分よりアクティブな沢登りを楽しむことができました。一の滝を少し超えた地点。今日は立ち入り禁止ゾーンを越えていきます。

二の滝。滝と紅葉という絵になる景観の中を進んでいきます。

三の滝。ヒグマが横切ったと注意を受けていましたが姿は見当たりませんでした。

三の滝を登りきると奥行きのある空間が広がっており、手前には黄色味を帯びた川床やゴロゴロと転がっている大きな落石、奥には立ち上る湯気と硫黄成分によって漂白された崖面が現れ、バイオマットによる緑色の川も相まって特異な景観が構成されていました。少し歩くと今回の試行事業のゴールに到着しました。登りはじめておよそ30分、とはいえメモを取りながら非常にゆっくり歩いてきたので、サクサク登ればこの半分ほどの時間で到達できたかもしれません。かつて多くの方が入浴した四の滝の滝壺は落石で埋まっていたようです。何枚か写真撮影をして、近くにいた監視員の方と多少会話を交わし、今まで来た道を折り返します。下りは登りよりもやや注意を要しましたが、怪我もなく、無事降りてくることができました。 今回の試行事業のゴール。

一の滝以奥が長らく立ち入り禁止になっていたのは落石の危険性によるものです。この日も落石の危険性があることを事前に了承した上でモニターツアーに参加していましたが、特に石が転がってくるといったことはありませんでした。また今回適切な格好で臨んだこともあって、転倒等についても不安は感じませんでした。ただ日頃それなりに運動している20代男性の感覚ですので、意見は様々であると思います。

自然センターに戻るバスでも、シカやキツネ、さらに川の中でサケを捕らえようとするヒグマの姿を見ることができました。私が知床に初めて来たのは5年前で、そこから何度か知床に通っていましたが、斜里町側でヒグマを見たのは初めてでした。ようやく見ることができたという思いと、道路沿いに姿を現すヒグマが魅力的な観光資源として作用している現実を肌で感じました。

知床ではこうしたヒグマを見るために車が何台も列をなして駐停車する「ヒグマ渋滞」が度々発生し、中には車を降りてヒグマに接近する観光客もいるとのことで深刻な問題になっています。こうした行動はヒグマの人慣れを引き起こし、人間とヒグマの双方に不幸な結末をもたらすものとして危惧されています。今回のシャトルバスシステムはこうした問題への対策の一つとして導入されています。今回私たちの前に姿を現したヒグマをめぐっても、シャトルバス期間でなければ上記のような事態が発生していたかもしれません。ヒグマへの過度な接近を防止し、かつヒグマを安全に見せることができるシステムとして、シャトルバスシステムは一定の機能を果たし得ていると感じました。

以上、私の目から見た「ナショナルパークシャトル」とカムイワッカ湯の滝一の滝以奥のモニターツアーの様子をお伝えしました。サスティナブルウィーク中に行われた他のイベントにも参加してきましたので、また記事をあらためてお伝えしたいと思います。

 

(事務局:船木)

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