【知床コラム】第2回:にぎやかな初夏の海鳥
【知床コラム】では、当財団の業務執行理事・中川元が、季節ごとにさまざまな表情を見せる知床の自然情報などをお伝えします。第2回はにぎやかな初夏の海鳥についてです。
羅臼の海で羽を休めるハシボソミズナギドリ
初夏の知床の海。流氷が育む豊かな海には数多くの海鳥がやってきます。海鳥が最もにぎやかなのがこれからの季節。圧巻はハシボソミズナギドリの大群です。数千羽の群れが海面に羽を休め、船が近づくと次々と飛び立ちます。ハシボソミズナギドリは南半球のタスマニア島などで繁殖し、北半球が夏に向かう頃、赤道を越えて太平洋を北上します。オホーツク海やベーリング海など、餌が豊富な北太平洋の海で夏を過ごすのです。
羅臼の海ではハシボソミズナギドリの群れの中にミンククジラの姿を見ることも珍しくありません。ともに動物プランクトンのオキアミを餌にしているので、同じ海域に見られるのでしょう。
ウトロ側海岸の岩場ではウミウやオオセグロカモメがコロニーを作り、岩の隙間に営巣するケイマフリが赤い足を水面に映しながら飛び回ります。ここで繁殖する海鳥を支えているのも豊かな海の豊富な魚類です。ただ、ウミウやカモメ類の営巣数が最近減少気味なのが気になります。原因はよくわかっていませんが、ヒグマの海鳥コロニーへの侵入が近年見られるようになりました。野生生物の生息状況は様々な要因で変化します。これらの変化を常に把握し、その要因をさぐる調査活動が重要です。海と陸地が密接につながりあった世界遺産の自然をいつまでも守っていきたいものです。
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