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【Interview】第2回:笠井文考さん


【Interview】では、知床自然大学院大学設立財団やワイルドライフマネジメント、知床の自然に関わる方々を紹介していきたいと思います。第2回目は、知床の自然ガイドで、当財団賛助会員の笠井文考さんです。


■笠井さんが自然ガイドになるまでのいきさつを教えてください。

私は静岡県出身で、高校まではサッカーばかりやっていたのですが、東京農大のオホーツクキャンパス(網走市)に進み、北海道に来ました。学部生時代はあまり学校に通わず、釣りなどのアウトドア、アルバイトに一生懸命でした(笑)。卒業後は札幌本社の会社に就職し、苫小牧方面で建設機械を売る営業マンに。その頃、けっこう山奥の現場が多くて、自分のやっていることは自然を壊してしまっているのではないか・・・と、漠然と環境を考えるようになりましたね。

その後仕事を辞めて、知床財団で1年間働き、そこで環境に対する自分なりのイメージがわきました。もう一度勉強しようと、東京農大の大学院に進み博士号を取得。研究員としても3年間在籍しました。その後ここで自分の知識や技術を生かした仕事をしようと考えて、ようやく今の自然ガイドの仕事に至っています。

■大学院ではどんな研究をしていたのですか?

イトウ(注1)が棲める環境についてです。主に釧路川水系でイトウが絶滅した川としていない川を比較し、周辺の土地利用を解析するなど河川生態系について研究していました。また大学院に行きながら、野生鮭研究所の小宮山英重所長の元で調査を手伝っていました。川面に顔を付けて魚を数えたり、1匹のイトウを1日中観察したり。小宮山さんは登山家でもあって、研究面はもちろん、野外で体を動かす技術みたいなものを学びましたね。今の仕事にも生きていると思います。

NHKBSプレミアム「ワイルドライフ」撮影中の笠井さん(手前)

■現在の自然ガイドの仕事はどう感じていますか?

ガイドになって8年目なのですが、知床はとても恵まれていてお客さんがたくさん来てくれるので、最初の頃は勘違いしてしまうというか、ガラパゴス化しやすいというか・・・。ガイドの先輩に「何となくやってないか?」と言われたことがあり、そこで目が覚めて、積極的に外に資格を取りに行くようになりました。知床以外のガイドの人たちと接していると自分の立ち位置がよくわかります。日々勉強ですね。

今はいろいろな広がりが出てきていて、昨年はNHKBSプレミアムの自然番組「ワイルドライフ」に、斜里川の案内人として出演させてもらいました。その番組が縁で、アウトドアブランドの「mont-bell」さんからサポートしてもらえることになり、とても感謝しています。

■笠井さんは昨年の「知床ネイチャーキャンパス2016」(注2)にもご参加いただきました。率直に感想を伺えれば。

昨年の内容であれば、知床の現状を知る、考えるための良いきっかけになると思いました。すでに専門が決まっている大学院生には簡単かな?と思う部分もありましたが、知床のフィールドはたくさんの生き物たちを受け入れられる場所ですし、サケ・マスやエゾシカは特に身近に感じられます。ここで学べることはとてもいいことだと思います。

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笠井 文考(かさい・ふみたか)
1973年、静岡県静岡市生まれ。東京農業大学非常勤講師  博士(生物産業学)。知床アルパ株式会社のチーフガイド。豊富な知識とデータを基にしたトークで、知床を訪れる観光客らを楽しませている。

(注1)サケ目サケ科イトウ属に分類される淡水魚。大きなものは体長1.5mにも達する。「幻の魚」と呼ばれるように、環境省のレッドリストでは絶滅危惧種IB類<近い将来における絶滅の危険性が高い種>に指定されており、国内では北海道だけに生息。道内でも生息する川は限られている。
(注2)知床自然大学院大学設立財団が開催した知床をフィールドとした教育プログラム。昨年は10月9日、10日の2日間、全国からの参加者22人が、講義と実習、ワークショップなどを受講した。詳しくはこちら

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