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新代表理事の就任にあたって(梶 光一)

 このたび、知床自然大学院大学設立財団が公益財団法人の認定を受けて10周年の節目に、田中俊次前代表理事の後任の代表理事に就任しましたので、ご挨拶申し上げます。
 
 当財団は、野生動物と人間社会の間に生じたさまざま問題の解決と、共生のための新しい思想・技術を創出し、その実践を担う専門家(ワイルドライフマネジャー)の養成の実現をめざしています。
 
 人口が減少する一方で、シカ・イノシシ・クマ類など大型獣の分布拡大と生息数の増加が起こり、農林業被害のみならず生態系にも影響が生じています。また、クマ類の居住地への大量出没が頻繁に発生し、昨年は深刻な社会問題となりました。
 
 このような背景から、環境省は日本学術会議へ「人口縮小社会における野生動物管理の在り方」の審議依頼を行いました。その回答の中で、地域に根差した野生動物管理を推進する高度専門職人材の教育プログラムの創設が提言されています。それを受けて、関係省庁と大学間連携のもと、モデル・コア・カリキュラムの策定と試行が実施され、社会実装の検討が続けられています。
 
 わたしたちは、この人材養成を実現するための実践的活動として、2016年から現場教育や実践的トレーニングに重点をおいた「知床ネイチャーキャンパス」を実践してきました。私たちは、これまで蓄積してきた「知床ネイチャーキャンパス」プログラムを海・川・陸域に生息する野生動物、自然環境、人間活動の相互関係を理解し、よりよい関係を構築するために、発展させて継続的な開講を予定しています。
 
 そして、学びの対象者をこれまでの大学生・大学院生・現職者等から、高校生や一般住民にまで拡大し、ワイルドライフマネジャーを核としながら環境全般専門職、若年者教育、研究者の養成を目指します。

 今後とも変わらぬご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

梶 光一(東京農工大学名誉教授)

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