知床自然大学院大学設立財団のおすすめ本(知床編)
これまでに当財団の会報「設立財団ニュースレター」を19号まで発行してきましたが(2020年1月現在)、その中で紹介した「知床自然大学院大学設立財団のおすすめ本」を分野別に紹介します!
まずは知床編。知床や世界自然遺産に関連する本です。
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『世界自然遺産知床とイエローストーン』
デール・R・マッカロー、梶光一、山中正実 編著
知床財団(2006年)1,100円
知床が世界遺産に登録された2005年夏、第9回国際哺乳類学会議(IMC9)が札幌市内で開催されました。この中で、世界最初の国立公園であり世界遺産でもあるイエローストーン国立公園と知床国立公園を、野生動物保護管理の面から比較し議論するシンポジウムが開催されました。
本書はこのシンポジウムの内容を発表者(日本11人、米国14人)が分担執筆したものです。両国立公園の生物や公園管理の比較をベースに、ヒグマやシカ類の管理、オオカミの再導入などについて、イエローストーンの歴史や現在の取り組みが詳しく紹介されています。そして、知床での研究成果や現状、将来への展望が論じられています。先進地に学びながら、知床ではどのようなマネジメントが行われ、今後必要とされるかを知ることができる書籍です。(業務執行理事・中川元)
※本書は知床財団のネットショップ「コムヌプリ」から購入できます。
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『世界遺産を問い直す』
吉田正人 著
山と渓谷社(2018年)880円+税
知床が我が国3番目の世界自然遺産に登録されたのは2005年のことでした。1993年に登録された白神山地と屋久島、2011年に登録された小笠原諸島と我が国の世界自然遺産は4カ所となりました。そして5番目の自然遺産として日本政府が推薦した琉球諸島が、審査機関(IUCN:国際自然保護連合)によって「登録延期」と評価され、昨年大きな話題になりました。この本では琉球諸島を含めた5つの世界自然遺産及び候補地について、世界遺産としての価値や人との関わりの歴史、登録に至る経緯などがわかりやすく書かれています。
また、小笠原諸島の外来種問題など、登録を目指して取り組まれた対策や、登録後にも残った課題にも切り込んでいます。知床については、登録時にIUCNや世界遺産委員会から指摘された課題ー海域の管理計画や河川工作物の改良などーに対して、科学委員会を中心にした取り組みが「知床方式」として高く評価され、他の世界遺産地域に大きな影響を与えたことが紹介されています。長年世界遺産登録に関わってきた著者により、我が国の自然遺産の現状と地域の歴史がよく理解出来る一冊です。(業務執行理事・中川 元)
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