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【Interview】第5回:滝澤大徳さん

【Interview】では、知床自然大学院大学設立財団やワイルドライフマネジメント、知床の自然に関わる方々を紹介していきたいと思います。第5回は知床山考舎代表の登山ガイド、滝澤大徳さんです。

■知床の登山ガイドといえば滝澤さん、というほど地元では山のイメージが強い滝澤さんですが、以前は斜里町職員でした。斜里との縁を教えてください。

私は道南・旧上磯町(現北斗市)の出身です。札幌学院大学で学芸員資格を取りまして、1989年に知床博物館の臨時職員になりました。学生時代はワンダーフォーゲル部で道内あちこちに出かけていましたが、知床だけは来ていなかったので縁はここからですね。夏は遺跡発掘作業、冬は展示物の作製などにあたり、当時出始めのパソコンをここで覚えましたよ。

その後試験を受け、91年に斜里町職員になりました。配属された自然保護係では「しれとこ100平方メートル運動(注1)」の事務を担いました。95年頃まではヒグマを見ることは滅多になかったので、現在とはヒグマ対応などは大きく違っていました。その後商工観光課に異動になり、冬のイベント「オーロラファンタジー(注2)」の会場で交通整理をしたり、全国各地に知床PRに出かけたりしていました。

 

■登山ガイドを始めたきっかけは何だったのですか?

役場の仕事をしていると、普通の登山者はもちろん、調査研究や取材の人など、たくさんの人から山に関する問い合わせがきました。ガイドを紹介してほしい、作業を手伝ってほしい、などなど。それに逐一対応できる人が当時斜里にはいなかったので、地域の実情がわかる地域の人が案内や紹介、作業をする必要があると感じていました。

そのころ北海道のアウトドアガイド制度ができて、当時は在職中に資格が取れましたので、ゆくゆくはガイドに・・・とも思っていました。知床ではネイチャーガイドの認知度が高まりつつあった時期で、山のガイドも必要だと思いましたし、やるなら若いうちから始めないと!との思いもあり、2003年に役場を辞めて登山ガイドを始めました。

知床硫黄山

■滝澤さんが考える知床の山の魅力は何ですか?

全国各地の山に登っても、知床に帰ってくると知床の山はいいなと思いますよ。知床半島の山は、高いところに登っても「潤い」がある気がします。両サイドに海が見えるからかもしれませんが、海と陸が一体となっていて、その中に自分がいるのだという感覚になります。自然の中に自分から入っちゃう感じです。他の場所ではあまり感じないでですね。

ガイドを始めて14年になりますが、やって良かったと思います。登山をはじめたいと入り口に立った人から、深く楽しみたい人まで、選択肢を多く示せるようになったと思います。リピーターのお客さんの要望に応えて、全国の山に行くことも増えました。

調査執筆者の一人として、滝澤さんが製作に携わっている「山と高原地図 利尻・羅臼 知床・斜里・阿寒 2017」(昭文社)

■知床は多くの学生、研究者がフィールドワークに訪れる場所で、当財団もこの地で学ぶ教育機関の設立を目指しています。知床のフィールドをよく知る滝澤さんから見て、フィールドで学ぶ際に大切なことは何ですか?

安全管理やリスクマネジメントができないと、フィールドワークはできません。調査・研究にあたっては、しっかりリスクマネジメントやファーストエイド(応急処置)を学んでほしいと思います。山はもちろん、フィールドに出るには危険が伴います。山のガイドでは申し込みを受けて、計画書を作って打ち合わせをして、何度もやりとりした後で実際に会ってガイドします。こんな危険があるけれども、対応策はこうで、こうすれば安全を確保できます、などと伝えます。安全にフィールド活動するには、自然に対する知識だけではなく人間のコントロールも含めたリスクマネジメントが必要です。知床で学ぶ人には、そんな技術も身につけてほしいですね。

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滝澤大徳(たきざわ・ひろのり)
1967年、北海道旧上磯町(現北斗市)生まれ。2003年に知床山考舎を設立。日本山岳ガイド協会の登山ガイドステージⅢ、北海道アウトドアガイド山岳ガイド(冬山・夏山)、日本体育協会・山岳上級指導員、TMCAツリーイングチーフインストラクターなどの資格を持つ。NHKBSプレミアム「にっぽん百名山」の斜里岳の回をはじめ、羅臼岳や知床を紹介する様々な番組にガイドとして出演。
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(注1)乱開発から知床国立公園内の開拓跡地を守ろうと、1977年に斜里町が始めた運動。「しれとこで夢を買いませんか」のキャッチフレーズで、全国から一口8000円の寄付を募り、開拓跡地の買い取りを進めた。1997年からは森林再生、生態系の再生を目指す「100平方メートル運動の森・トラスト」が行われている。

(注2)昭和33年に知床の夜空に現れた本物のオーロラを、レーザー光線や映像で再現したロングランイベント。2016年までの30年間、知床の冬の看板イベントとして多くの観光客を楽しませた。現在は「知床流氷フェス」に衣替えしている。

 

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