【知床コラム】第4回:知床のカワウソ−北海道で最後の記録−
【知床コラム】では、当財団の業務執行理事・中川元が、季節ごとにさまざまな表情を見せる知床の自然情報などをお伝えします。第4回は「知床のカワウソー北海道で最後の記録ー」についてです。
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対馬で確認されたカワウソが話題になっています。絶滅種とされていたニホンカワウソが人知れず生息していたのか、他地域から侵入したカワウソなのかは今後の精細な調査が待たれます。
「ニホンカワウソ」は「ユーラシアカワウソ」の亜種で、本州以南に生息していた亜種と、北海道に生息していた亜種の二亜種に分類されます。毛皮目的の乱獲や生息環境の悪化によって減少しました。本州では1954年の和歌山県の記録が最後、四国では1979年の高知県での目撃例が最後の記録となりました。その後30年以上確実な生息情報は無く、環境省によるレッドリストの改訂(第4次、2012年)で、本州以南の亜種・北海道の亜種ともに絶滅種と判定されました。
北海道のカワウソは早くから毛皮獣として捕獲され、明治以降の乱獲で急速に減少しました。戦後の目撃情報や足跡の発見例は1980年代までいくつかありましたが、確実にカワウソと判定されたものは無く、1989年に旭川市で発見された死体は調査の結果、飼育個体が放たれたものと判定されました。
この写真は知床博物館が所蔵するカワウソの毛皮です。全長が111.5センチメートルもあり、襟巻きとして使用されたために体部の長毛が抜かれています。1955年に斜里川の支流・秋の川で鱒網にからまって捕獲されました。この個体が北海道における最後の記録となっています。
知床にかつて生息した哺乳類の中でエゾオオカミとニホンカワウソの二種が絶滅種です。知床の開拓跡地を元の森林に再生する運動「100平方メートル運動の森トラスト」の長期目標として、絶滅種の復元が取り組まれています。知床にカワウソが再び生息出来る環境を取り戻せるか、餌は充分か、導入を検討する個体が分類学的に同種であるかどうか、などの研究が必要です。現在、知床博物館と知床財団がロシアの研究者との共同でサハリンや沿海地方で調査を進めています。
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