【シレトコってどんなトコ?】第2回:漁業について(斜里編)
【シレトコってどんなトコ?】では、知床の特徴や地域資源などの情報を地元目線でお伝えしています。第2回は漁業について、斜里編です。知床半島の北側にあたるオホーツク海側、斜里町の漁業についてご紹介します。
■始まりは江戸時代から
斜里で商品生産を目的とする漁業が始まったのは江戸時代。斜里は長くアイヌの人たちが暮らす土地でしたが、1790年に交易船が初めて来航したのを機に斜里場所が設けられ、商人(和人)による漁場経営が本格的に始まりました。そのころの主産物はカラフトマスで、多くが塩漬けにされ、弁財船で関西方面へ。その後1800年代初めには、ニシン、マス、サケの3つの漁が定着していきました。
明治、大正時代を経て、戦後の昭和20年代には、ウトロ地区で、樺太(サハリン)などからの引揚者が担い手となって「知床魚田開発事業」が実施されました。この事業によって港や住宅、道路など、ウトロのまちが漁業基地として整備され、現在の漁業の発展につながったものとされています。
■サケ漁獲量日本一の町
現在も斜里町で水揚げされる主な魚は、サケ・マスです。斜里第一漁業協同組合とウトロ漁業協同組合という2つの組合がある斜里町は、実は14年連続で市町村別のサケ漁獲量日本一を誇る町。端から端まで2kmにもなる大きな網を沿岸に固定して漁獲する「定置網漁」が盛んで、毎年5月ごろからクレーン車を使った大がかりな網の修繕や点検が始まります。
知床岬近くまでの沿岸一帯で行われる実際の漁期間は9〜11月。秋の浜はとても活気づきます。知床は沿岸3㎞の海も世界遺産に認定されているので、正真正銘、世界自然遺産で行なわれる人間の営みと言えるでしょう。
斜里では他にも高級魚のキンキ(キチジ)、ホッケやミズダコ、毛ガニなどが水揚げされています。斜里町のデータによると、2016年の年間漁獲額は106億円。斜里町の漁業は、同じく100億円を超える生産額の農業とともに重要な基幹産業の一つです。
知床の海で水揚げされた海産物は各地に出荷されるほか、地元飲食店で旬に応じて味わうことができます。トバやスモークサーモンなどの加工品も特産品として有名です。知床の豊かな海の恵みを、ぜひ味わってみてください。
次回は羅臼の漁業についてご紹介します。
参考資料
知床博物館第23回特別展図録「知床の漁業」 斜里町立知床博物館 2001
「丸ごと感じて!!海トロの恵み!知床の海小ネタ集」 ウトロ地域マリンビジョン協議会 2007
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