ブログ 知床の自然

海岸草原は花の季節

2016/10/03

暖かい日が続くようになり、知床・斜里の海岸草原は色とりどりの花で賑わうようになりました。中でもオレンジの大きな花をつけるエゾスカシユリの花がよく目立ちます。写真は斜里市街から西(美咲-大栄地区)に続く海岸砂丘の草原群落です。この開花の様子はJR釧網線の車窓からも見ることができ、青いオホーツク海を背景に夏らしい光景となっています。この海岸草原は網走国定公園内ですが、その一部は天然記念物「斜里海岸草原群落」に指定されています。また、斜里市街から東の海岸砂丘には「以久科原生花園」(以久科海岸道自然環境保全地域)があり、かつてはエゾスカシユリの群生地でした。

両地域とも30年ほど前からエゾスカシユリの衰退が著しく、かつての「お花畑」の景観は失われていました。しかし、美咲・大栄地区の方は近年徐々に回復しており、最近は写真のようにたくさん咲く場所も見られるようになりました。一方、以久科原生花園の方は衰退したままの状態が続いています。衰退あるいは回復の原因はよくわかりません。両海岸とも昔は馬が放牧されていたそうです。軽い採食圧が牧草等の侵入を阻んで、お花畑が維持されていた可能性があります。近年斜里の海岸林にもエゾシカが入るようになりました。ただ、面積に比較するとごく少数ですので、植生に影響を与えるほどとは考えられません。以久科草原の回復が見られないことも疑問です。しばらくは様子を見ながら「お花畑」の回復を期待したいと思います。(中川)

img_0斜里海岸草原のエゾスカシユリ(2016年6月28日)

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