イベント お知らせ ブログ 日記

知床自然大学院大学設立財団のおすすめ本(オンライントークセッション講師編)

真夏の暑さは過ぎ去り、知床は早くも秋の気配が漂っています。読書の秋を前に、当財団の過去のニュースレターに掲載した「知床自然大学院大学設立財団のおすすめ本」を紹介します。今回は9月9日(木)に開催する「知床ネイチャーキャンパスpresentsオンライントークセッション 知床で生きる、働く−地域の自然と人をつなぐ活動とは?」の講師の方に関係する2冊です。

1冊目は、コーディネーターの敷田麻実・北陸先端科学技術大学院大学教授の編著作です。

はじめて学ぶ 生物文化多様性

敷田麻実/湯本貴和/森重昌之 編著
講談社(2020年) 2,800円+税

「生物文化多様性って何だろう(第1章)」で始まる本書は、初めてこの言葉を聞く読者に、わかりやすく解説された入門書です。各章の冒頭には、シンガポールからの留学生ジョンが体験する日本の自然や文化への反応と、日本の大学生アキ、ゼミのユアサ先生とジョンとのやりとりが漫画で描かれています。一見難解そうな主題にも抵抗なく入っていける構成になっています。

生物多様性の保全が地球環境を守るため、私たち人間の生活を守る上でも最も重要なことは今や常識となっています。そしてさまざまな地域で育まれてきた「文化」もまた、歴史的にも現代においても生物多様性に深く関わっていることを本書から知ることができます。それは自然に囲まれた農山村ばかりでなく、都市においても同様です。かつての乱開発や行きすぎたグローバル化が生物多様性を低下させ、地域文化の衰退を招きました。これからの世界を担う若い方々には、生物多様性と文化の相互作用=「生物文化多様性」をキーワードに、人と自然が真に調和した社会を築いていただきたいと思います。(業務執行理事・中川 元)

講談社BOOK倶楽部ホームページ

---------------------------------------
2冊目は、スピーカーの秋葉圭太さんが所属する公益財団法人知床財団発行の絵本です。

しれとこのきょうだいヒグマ ヌプとカナのおはなし
あかし のぶこ 作・絵
公益財団法人 知床財団(2008年) 1,650円

知床で生まれた兄妹ヒグマのヌプとカナ。大自然の恵みの中ですくすく成長しますが、ある日ヌプは人間が捨てたゴミの味を覚えてしまい、そこから2頭の運命が変わります。

餌やりやゴミの不法投棄など、ちょっとした人間の行為が野生動物の一生を狂わし、目指すべき人と野生動物との共存関係にも支障をきたしていくことがよくわかる絵本です。10年以上前の発行ですが、現在もまだ知床の日常的な問題として、餌やりや不法投棄禁止の啓発が続けられています。深いテーマがある一方、知床在住の絵本作家・あかしのぶこさんが描くヒグマや知床の自然は生き生きと美しく、子どもから大人まで親子でも楽しめる絵本だと思います。

知床自然センター、羅臼ビジターセンターの他、知床財団のネットショップ「コムヌプリ」で販売中です。(事務局・竹川智恵)

知床財団ホームページ

-イベント, お知らせ, ブログ, 日記